住宅用太陽光発電システムの定期点検してますか?
公開日:2019.2.15 / カテゴリ:太陽光発電
消費者安全調査委員会が「住宅用太陽光発電システムから発生した火災事故等」に関する調査報告書を取りまとめ、1月28日に公表しました。消費者庁から消費者に対して注意点が周知されたため、住宅用太陽光発電システムを導入されているご家庭では「自分の家は大丈夫?」と不安になった方も多いのではないでしょうか。
目次
火災事故に関する調査報告書とは
そこで、どのような調査報告書だったのか、中身を見てみたいと思います!
調査報告書によると、住宅用太陽光発電システムの累積設置棟数は、平成30年10月時点で全国237万4,700棟にのぼります。
その住宅用太陽光発電システムから発生した火災事故等に関する事故情報について、平成20年3月から同29年11月までで、事故情報データバンクに127件が登録されています。そのうち、72件が調査対象で、さらにその中の13件がモジュールまたはケーブルから発生した火災事故等とされています。
実際に起こった火災事例
いくつか事例をみると。
【事例1】
居住者がベランダで洗濯物を取り込もうとした際、異臭があり、パチパチと音がしたため、周囲を確認したところ、軒先から煙が出ているのを発見。屋根と屋根裏およびモジュールが焼損した。
<出火原因>
モジュール付近にて何らかの要因により接触不良を起こしたため発熱、時間経過と共に発炎し、屋根材へ延焼屋根裏を覆い屋根むなまで達したものと推定。
【事例2】
居住者が住宅の2階に在宅中、パチパチと音がし、窓を開けると異臭を感じたが、自宅の異臭とは思わずにいたところ、その後、近隣住民から屋根の発煙を知らされ、消防機関に通報。屋根裏10㎡およびモジュール7枚が焼損した。
<出火原因>
施工時に出力ケーブルが取り付け架台に挟み込まれ、他の個所においても同様の挟み込みが発生したため、施工後の気象現象による荷重・振動・応力等により挟み込まれた個所の絶縁劣化が進行。発電量が最大となったときに絶縁破壊したことで、取り付け架台を電路とした短絡回路が形成され、過大電流が流れたことで発熱して出火に至ったものと推定。
これらの事例と出火原因の推定に対して、一般社団法人太陽光発電協会と一般社団法人日本電機工業会は「今回の消費者庁の報告は、施工不良によるケーブル起因の火災と、モジュール起因の火災があるとされています。ケーブル起因の火災は施工不良によるものとされています。一方、モジュール起因の火災は製品起因とされている案件もありますが、具体的な発火・火災プロセスは完全には解明できていません」との見解を示しています。
消費者庁が示した3つの注意点
消費者庁が消費者向けに周知している注意点は3つです!
①「鋼板等なし型」の太陽電池モジュールの場合は、他の設置形態へ変更することで火災発生のリスクを低減できます。
②「鋼板等付帯型」の太陽電池モジュールの場合は、ケーブルの挟み込みを防ぎ、ルーフィング上にケーブルを可能な限り敷かない構造に変更することで火災発生のリスクを低減できます。
③「地絡検知機能」がない場合は、「地絡検知機能」がある製品へ変更することで火災発生のリスクを低減できます。
特に、設置形態の変更によりリスク低減できると記されている①を見て、「自宅の太陽電池モジュールは、どの型か?」と不安を募らせた方も少ないはず。
住宅用太陽光発電システムのモジュール設置形態は、4つのタイプに分類されています。
[1]屋根置き型(住宅の屋根材の上に架台を取り付け、モジュールを設置)するタイプ
[2]鋼板等敷設型(屋根材にモジュールが組み込まれているものや、屋根全面にモジュールが設置されているもので、モジュール直下のルーフィング表面に鋼板等の不燃材料を敷設するタイプ)
[3]鋼板等付帯型(裏面に鋼板等の不燃材料を付帯したモジュールをルーフィング上に直接設置するタイプ)
[4]鋼板等なし型(裏面に鋼板がないモジュールをルーフィング上に直接設置するタイプ)
この中で、調査報告書の対象となり、消費者庁が再発防止策を求めているのは「鋼板等なし型」に該当するものです。住宅用太陽光発電システムの累積設置棟数全体の約4.5%(約10万7,000棟)と報告されています。
一般社団法人太陽光発電協会と一般社団法人日本電機工業会は、「該当設置形態の製品においても、それぞれの製造業者がリスク評価を行っており、すぐに運転を止めるとか、取り外すとかの対応は必要ありません」とした上で、「まず、該当する設置形態かどうかを確認し、該当製品の場合は購入された販売業者、設置業者または製造業者に問い合わせいただくことをお勧めします」と確認を呼び掛けています。
売電するなら必ず定期点検を!
さらに、消費者庁は、消費者また住宅用太陽光発電システムを導入している家庭に対して「住宅用太陽光発電システムを利用して売電を行う場合には、事業者として点検等の義務も併せて負う必要があります」と強調し、点検の重要性を説いています。
点検が必要と言われても、どの程度必要なのか、わからないというのが実情ではないでしょうか。
この点について、一般社団法人太陽光発電協会と一般社団法人日本電機工業会は、「住宅用太陽光発電システムは、国が策定した事業計画策定ガイドラインにおいて、適切に保守点検・維持管理することが求められています。JPEAとしては定期的な点検をお勧めします。頻度は、当会発行の『太陽光発電システム保守点検ガイドライン』で4年ごとの点検を推奨しています」と、頻度基準を示しています。
4年に一度。
住宅用太陽光発電システムを、より安全に使用していくためには、定期点検の慣習化も大切です!